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代表者 多田正幸 が思うところ

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子供のころから貿易商人になることを夢見ていた私は、勤めていた商社を辞め、“自称”貿易商人となりました。海外からいろんなサンプルを取り寄せ、どきどきしながら見ず知らずの会社に電話し、何度も断られながら何とかアポイントをとり商談までこぎつけるも、ほとんどの会社で“けんもほろろ”にあしらわれるという日々を送っていました。それでも妻と私2人の収入をあわせて貧しいながら、それなりに楽しく暮らしていました。

そんなある日、長女を授かりました。生後間もない長女がはじめて私に“言葉にならない言葉”で話しかけてきたとき、胸が熱くなり「よく生まれてきてくれた。」と思ったことを今でも鮮明に覚えています。長女ができ妻の収入が途絶えると、商社勤務時代の蓄えが時間とともに少なくなっていきました。それは砂時計の砂が落ちていくようで、時の流れとともに、なすすべも無く静かに進みました。言い知れない不安が募りました。学生時代の友人たちに会い、昔話をすると少しは気が晴れましたが、何かが違うような気がしました。サラリーマンの彼らと話をしていても、私と彼らとでは何かポイントがずれているのでした。そのうち、ささやかな“飲み代”までもが気になりだし、友人たちと会う機会も少なくなりました。

長女にとって初めての春、私は生後6ヶ月の彼女を抱いて桜を見に行きました。当時私たちが住んでいたぼろアパートの近くに桜の名所があったのです。暗く寒かった冬が去り、さわやかな春風の下で桜はものすごく綺麗でした。その綺麗な桜を長女もまぶしげに見つめていました。さわやかな春風と、美しい桜と、いとおしい娘と、砂時計のように静かに迫る不安とで、言いようの無い切ない気持ちになりました。桜を美しく感じれば感じるほど、娘をいとおしく感じれば感じるほど、その切ない気持ちがどうしようもなく心の中で広がっていきました。その後私は、再びサラリーマンとなり、初めての“脱サラ”・“起業”は終わりました。

平穏なサラリーマン生活を送りつつも、“起業”への“ほろ苦い”思い出からか、“脱サラ”や“起業”をする人々が気になる日をすごしていました。紆余曲折を経て税理士となり、幸運なことに現在は“起業”をされる多くの人と接する機会に恵まれています。今まで多くの人の起業に立ち会った経験の中から、起業直後に気をつけるべき点のアドバイスができるようになりました。私がお話を伺えそうなことがあれば、お金は要りませんので些細なことでもお声がけください。

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